「ホームページを作ったのに、何も変わらない」
リニューアルのご相談で、最初に出てくる言葉はたいていこれです。
先に結論から──。
ホームページで失敗する理由の大半は、制作会社の技術力ではありません。
「誰に、何を伝えるサイトなのか」を決めないまま作り始めたことにあります。
この記事では、公開してから「効果がない」と気づく典型的な失敗を7つ挙げます。
どれも、発注前に手を打てば防げるものばかりです。
なお、金額に関する失敗についてはホームページ制作の費用相場の記事で別に書いています。
この記事では、公開後に効果が出ないという失敗に絞ります。
失敗の大半は、公開してから発覚する
ホームページの厄介なところは、完成した時点では失敗しているかどうかがわからない点です。
デザインは綺麗にできている。
スマートフォンでも問題なく表示される。
社内の評判も悪くない。
それでも半年後、問い合わせは1件も増えていない。
この状態になってから原因を探しても、手遅れになっていることが多い。
なぜなら、失敗の原因は制作が始まる前の段階に埋まっているからです。
以下の7つは、そのほとんどが「発注前に決めておくべきことを決めなかった」ことに起因します。
失敗1:誰に向けたサイトなのかを決めていない
最も多く、そして最も影響が大きい失敗です。
新規のお客様に向けるのか。
既存のお客様に向けるのか。
採用の応募者に向けるのか。
取引先や金融機関に向けるのか。
これらはそれぞれ求めている情報が違います。
新規のお客様は料金と実績を見ます。応募者は働いている人の雰囲気を見ます。取引先は会社の規模と信頼性を見ます。
全員に向けようとすると、どの情報も中途半端になります。
結果として、誰が見ても「よくある会社のサイト」にしか見えないものができあがります。
防ぐには:発注前に「このサイトで一番来てほしい人は誰か」を1つに絞ってください。
2番目、3番目があっても構いませんが、優先順位をつけることが重要です。
これが決まっていれば、制作会社は載せるべき情報を判断できます。
失敗2:会社案内をそのまま載せている
パンフレットの文章をそのままサイトに移す。
一見効率的ですが、これがうまくいくことはほとんどありません。
理由は、読まれ方が根本的に違うからです。
会社案内は、営業担当が手渡し、説明を加えながら読んでもらうものです。
一方ホームページは、誰の説明もない状態で、検索から突然たどり着いた人が読みます。
そして数秒で「自分に関係あるか」を判断して去っていきます。
「創業以来、お客様第一を掲げ」「地域社会に貢献する企業として」といった文章は、読み手にとって判断材料になりません。
知りたいのは、何ができる会社で、いくらで、どこまでやってくれるのかです。
防ぐには:お客様から実際によく聞かれる質問を、10個書き出してください。
その答えがサイトに載っていれば、それだけで大半の会社より役に立つサイトになります。
失敗3:写真がすべてフリー素材
スーツを着た外国人が握手している写真。
使ったことのないオフィスの風景。
実在しない社員の笑顔。
フリー素材そのものが悪いわけではありません。
問題は、実在する会社の実在する感じが、まったく伝わらないことです。
特に中小企業の場合、閲覧者が気にしているのは「本当にこの会社は存在するのか」「どんな人がやっているのか」という点です。
BtoBでも変わりません。むしろ発注金額が大きいほど、そこを見られます。
スマートフォンで撮った写真の方が、フリー素材より説得力を持つことすらあります。
防ぐには:最低でも「社屋の外観」「代表」「働いている様子」の3点は実写を用意してください。
撮影を依頼できるなら、それが最善です。
予算がない場合でも、この3点だけは自社で撮ってください。
失敗4:スマートフォンでの見え方を確認していない
現在、多くの業種でアクセスの7割前後がスマートフォンからです。
それにもかかわらず、確認がパソコンだけで終わっているケースがあります。
レスポンシブ対応そのものは、今どきの制作会社であれば標準です。
当社でも全プランに含まれています。
問題は対応の有無ではなく、スマートフォンで見たときに読めるかどうかです。
よく起きるのは次のような状態です。
- パソコンでは適切な文章量が、スマートフォンでは延々とスクロールが続く
- 料金表が横に潰れて読めない
- PDFで作った資料を貼っており、拡大しないと文字が見えない
- 電話番号が画像になっていて、タップしても発信できない
防ぐには:デザイン確認の段階で、必ず自分のスマートフォンで実物を見せてもらってください。
パソコンの画面を縮小した表示ではなく、実機で確認することが重要です。
失敗5:問い合わせまでの導線がない
内容は良いのに、連絡する手段が見つからないサイトは意外に多い。
問い合わせページがメニューの一番奥にある。
電話番号がフッターにしか書かれていない。
フォームの入力項目が15個ある。
「送信」を押した後、何も表示されない。
閲覧者は、興味を持った瞬間に行動できなければ離脱します。
数分後に戻ってくることは、ほぼありません。
特にフォームの項目数は影響が大きい。
会社名、部署名、役職、住所、電話番号、FAX番号まで求めるフォームは、まだ検討段階の人を確実に取り逃がします。
防ぐには:フォームの必須項目は、名前・連絡先・用件の3つを基本にしてください。
そして各ページの読み終わりに、次の行動先を置くこと。
「気になったら、ここから」が常に見えている状態を作ります。
失敗6:公開がゴールになっている
公開日にお祝いをして、そこで終わり。
半年後に見ると、お知らせの最新記事が公開日のままになっている。
これは非常によくある光景です。
そして閲覧者にはっきり伝わります。「この会社、動いているのだろうか」と。
検索エンジンにとっても同じです。
更新のないサイトは評価が上がりにくく、時間が経つほど順位は下がっていきます。
原因は担当者の怠慢ではありません。
多くの場合、更新する体制を決めないまま公開していることが原因です。
誰が、いつ、何を書くのかが決まっていなければ、通常業務に押し流されるのは当然です。
防ぐには:公開前に「月1回、誰が何を投稿するか」まで決めてください。
月1回で十分です。毎日書く必要はありません。
そして、自社で更新できる仕組みになっているかを必ず確認してください。
更新のたびに制作会社への依頼と費用が発生する作りだと、まず続きません。
失敗7:制作会社に任せきりで、社内に何も残らない
「専門的なことはわからないので、お任せします」
この一言で始まった案件は、公開後に苦しくなります。
ドメインとサーバーがどこの契約なのかわからない。
管理画面のIDとパスワードを誰も把握していない。
どこを直せば何が変わるのか、社内に説明できる人がいない。
この状態だと、担当者が異動や退職をした瞬間にサイトが誰も触れないものになります。
制作会社を変えたいと思ったときにも、身動きが取れません。
防ぐには:納品時に、次の4点を必ず自社で保管してください。
①ドメインの契約先とアカウント情報 ②サーバーの契約先とアカウント情報 ③WordPressの管理画面URLとログイン情報 ④制作データの所在
そしてドメインとサーバーは自社名義で契約すること。これが最も重要です。
7つの失敗と、発注前にできる対策
| 失敗 | 発注前にやっておくこと |
|---|---|
| 誰に向けたサイトか決めていない | 一番来てほしい人を1つに絞る |
| 会社案内をそのまま載せている | よく聞かれる質問を10個書き出す |
| 写真がすべてフリー素材 | 社屋・代表・現場の3点を実写で用意 |
| スマホでの見え方が未確認 | デザイン確認は必ず実機で行う |
| 問い合わせ導線がない | フォーム項目は3つを基本にする |
| 公開がゴールになっている | 更新の担当と頻度を決めておく |
| 社内に何も残らない | 契約情報を自社名義で保管する |
ご覧のとおり、対策のほとんどは制作会社ではなく発注する側の準備です。
逆に言えば、ここさえ押さえておけば、どの制作会社に頼んでも大きく外すことはありません。
それでも失敗してしまったら
すでに公開しているサイトで思い当たる点があった場合、全部作り直す必要はありません。
写真の差し替え、文章の書き直し、フォームの項目削減、問い合わせボタンの追加。
このあたりは既存のサイトのままでも改善できます。
自社で更新できる仕組みになっていれば、費用をかけずに手を入れられます。
作り直しを検討すべきなのは、次のような場合です。
- スマートフォンに対応していない
- 更新するたびに制作会社への依頼と費用が発生する
- 公開から5年以上が経過し、事業内容と乖離している
- SSL化されておらず、ブラウザに警告が表示される
ひとつでも当てはまるなら、部分的な修正より作り直した方が結果的に安くなることが多いです。
よくあるご質問
ホームページを作っても問い合わせが来ないのはなぜですか?
大きく2つの原因があります。
1つは、そもそも検索されておらず誰にも見られていないこと。
もう1つは、見られてはいるが、問い合わせに至る情報や導線が足りないことです。
アクセス解析を見れば、どちらが原因かはすぐに判別できます。
ホームページ制作で一番多い失敗は何ですか?
「誰に向けたサイトなのか」を決めないまま作り始めることです。
対象が決まっていないと、載せる情報の優先順位が決められず、結果としてどの層にも響かないサイトになります。
作った後に内容を修正することはできますか?
できます。
当社の場合、トップページとフォームを除く下層ページは、お客様ご自身で編集していただけます。
文章や画像の差し替えをご自身で行っていただく分には、費用は一切かかりません。
写真は必ず撮影しないといけませんか?
必須ではありませんが、強くおすすめしています。
最低でも社屋の外観、代表、働いている様子の3点があると、閲覧者の印象が大きく変わります。
予算が限られる場合は、自社で撮影した写真でも構いません。
今あるホームページを作り直すべきか、判断する基準はありますか?
スマートフォンに対応していない、SSL化されていない、更新のたびに費用が発生する、公開から5年以上経過している。
このいずれかに当てはまる場合は、作り直しを検討する価値があります。
まとめ
- 失敗の原因は制作会社の技術力ではなく、発注前に決めていなかったことにある
- 最も多いのは「誰に向けたサイトか」を決めていない失敗
- 写真と文章は、会社の実在感を伝える一番の材料。ここは削らない
- 公開はゴールではない。自社で更新できる仕組みを前提に選ぶこと
- ドメインとサーバーは必ず自社名義で契約する
思い当たる点が、ひとつでもあったなら──。
現状のサイトを診断したうえで、必要なことだけお伝えします。
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