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ディープシーク・ショックに見るAIとWEB制作現場の未来とは?日本のサカナAIに期待!
先日、中国で開発されたAI「DeepSeek」が世界に衝撃を与えました。
中国のAI企業が開発した「DeepSeek」という大規模言語モデル(LLM)が発表されると、GPT系モデルに匹敵する性能を持った人工知能でありながら革命的に低コストで開発されていることが話題となり、NVIDIAの株価大暴落をはじめ、アメリカの半導体・IT関連株が急落する事態になりました。
人工知能とグラボの関係
NVIDIAと言えば、ジャンプスのような制作現場ではパソコンのグラボ(グラフィックボード)でおなじみの会社です。
グラボとAIに何の関係が?と思いきや、グラボに搭載されているGPUは何も画像処理だけでなく並列処理が得意なので、大量の行列計算を行うAI開発でも重要な役割を果たしているんですね。
従来のAI開発では大量の高性能GPUが不可欠でしたが、DeepSeekはわずか10分の1のGPUの使用で開発できてしまったので、AI開発時代が到来して爆上がりだった半導体需要に疑問を投じる結果になってしまったようです。
この技術革新は、WEB制作業界やIT業界にも大きな影響を及ぼすと考えられます。
WEB制作業界への影響
AI開発現場で価格破壊が起きるとすれば、言い換えれば同コストでもっと高性能なAIが開発できるということになります。
ホームページ制作の現場では、ChatGPTやAdobeのPhotoshopやillustratorに搭載された生成AI機能で格段に作業が便利になりました。
しかし例えばPhotoshopの機能では、人間の手作業に比べるとまだまだ画像の切り抜きの精度は低いですし、いつになったらこういう機能が搭載されるんだ、いつこういうアプリができるんだ、というものがAI業界に革命が起きてから数年経ちましたが意外とまだまだ登場していません。
各国の企業がDeepSeekに対抗する新技術を開発し、AI開発の低コスト化によってAI分野での市場競争が激化すれば、AIを利用した制作ツールも充実するのではと期待が高まります。
SEO戦略への影響
ChatGPTが登場した当初、Googleがコードレッドを宣言して大騒ぎしていたのももはや遠い記憶。
検索エンジンからAIへの乗り換えが起きて、ホームページ制作現場のSEO対策にも大きな影響が出るかと思いきや……?
これもAI業界に革命が起きてから数年経っても未だにあまり影響が感じられないものの一つです。
しかし今回のディープシーク・ショックが、AI開発コストの問題でこれまで足踏みしていた企業をその呪縛から解き放つ転換点となるのであれば、今度こそSEO対策にも変化が訪れるかもしれません。
日本でも開発が進む「Sakana AI」
DeepSeekは英語圏ではなく中国の企業が開発したAIですが、やはり海外企業が開発した海外言語が基本のAIです。
返答不能なパニック状態に陥ると、残念ながら中国語に戻ります。
では、われら日本人の日本人による日本人のための日本語による日本語のための日本語のAIはないのか!?というと、実は絶賛開発中の国産AIがあるんです。
冒頭でも触れたNVIDIAが出資していて、その名も「Sakana AI」!
これまた従来のAIとは異なる新たなアプローチを採用しており低コストで、今後の展開が期待されています。
DeepSeekとも異なり、従来の大規模言語モデル(LLM)に対し、効率的かつ軽量な小規模言語モデル(SLM)と呼ばれるAIモデルを開発。
つまり、魚が群れを形成するように小規模なAIを組み合わせて高度な知能を実現するというモデルがその名の由来のようです。
Sakana AIが開発した日本語言語モデル「TinySwallow-1.5B」では、新しい学習方法「TAID(Task-Aware Iterative Distillation)」を採用し、高効率な学習を実現しています。
今回のディープシーク・ショックが低コストAI開発が主流になる可能性を示したことで、Sakana AIのような新たなプレイヤーがAI業界を牽引する可能性があります。
日本発のAI、楽しみですね!
PSDファイル→HTML&CSSファイルの未来は来るのか?
ホームページデザインをしていると、デザインデータから自動でAIがコーディングデータを作ってくれたら便利なのに!と思うことがしばしばあります。
今のところ、ChatGPTに尋ねると自信満々に「できるできる」「PSDファイルをくれ」「レスポンシブ化もやっちゃうよ」と言ってくるのですが、実際にデザインデータをアップしてみると結果は散々なものでした。
試しにこのジャンプスのサイトのデザインデータをアップしてコーディングをお願いしたところ、デザインしたテキストやコンテンツがゴッソリなくなっていて、謎の独自コンテンツが追加されたHTMLが吐き出されました。
レスポンシブ化やモーションの追加を含め、業務に使用できるレベルにはまだまだ程遠いようです。
一時期AdobeがPhotoshopから直接Dreamweaverにデザインデータの情報を抽出できるエクストラクト機能を実装した時期があって、これは将来的にもしや自動で……!?と期待が高まったのですが、ひたすらDreamweaverがもっさり重たくなっただけの機能で一瞬で姿を消してしまいました。
PhotoshopにAIを搭載するなら、レイヤーグループ名やレイヤー名にHTMLタグを指定して「WEB用に保存」の書き出し形式で「HTML&CSSファイル」を選択できたら便利なのにと夢見る日々はまだ当分は続きそうです。
AI開発が低コスト化することで、実用に耐え得るレベルでデザインデータからの自動コーディングが実現する未来も少しは近づいたかもしれないと期待しています。