ホームページ制作やDTPデザインの現場で、いつもお世話になっているのが様々なフリー素材サイトです。
その中でも多くの制作会社やWEBデザイナーが使用している有名素材サイトの一つに、写真ACやイラストACをはじめACワークスが運営するフリー素材サイトがあります。
そんなACワークスから、先月末に画像生成AI『AC写真AIラボ』のベータ版がリリースされました!
これまでの記事ではAdobeの生成AIについてご紹介してきましたが、今日はフリー素材サイトが提供する画像生成AI『AC写真AIラボ』について見ていくことにします。
著作権侵害の心配なし!安心して使える生成AI
もともと写真ACでは既に、フォトグラファーさんたちが撮影された写真素材に加えてAIによって生成されたフリー素材も配布されており、商用のためにダウンロードすることが可能となっていました。
またAIによる検索機能も追加されるなど、近年は積極的にAIが取り入れられていました。
そんな中、ついにユーザーがプロンプトを直接入力する形でのAIによる画像生成サービスとして登場したのが『AC写真AIラボ』です。
『AC写真AIラボ』で検索すると以下のようなベータ版のサイトが出てきます。
公式サイトの説明によると、学習データ数は約1000万点と、ほかの生成AIの学習データ数〇億点に比べると桁が少ないものの、学習対象がACワークスの著作権素材に限られており、クリエーターの著作権侵害をする心配なしで安心して使用できる点がメリットとして挙げられています。
また、素材写真を学習に使用しているため量は少なくても質の高い学習対象のため、クオリティの高い生成ができるのもポイントだそうですよ。
では、さっそくジャンプスのスタッフが実際に生成AIを使ってみることにします。
トップページにはプロンプトの入力エリアがあり、具体的に欲しい画像のイメージが決まっている場合はそのエリアにプロンプトを打ち込んで生成することが可能になっています。
このプロンプトの入力欄とは別に、「プロンプト」とは何ぞや?という初心者向けに画像生成のアテンド機能もあり、画面の指示に従いながら画像を生成する方法もとれるようです。
写真のイメージが固まっている場合には、以下のように「はい」を選んで生成画面へと進みます。
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欲しい写真のイメージは決まっていますか?という質問に「はい」を選択してクリックすると……
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生成画面に切り替わり、わかりやすい言葉でプロンプトの入力が促され、生成する写真のスタイルも選べるようになっています。
もしも写真のイメージが固まっていない、どんなテキストを入力すればいいのかわからないという場合は「いいえ」を選んでさらにサポートを受けながら画像生成を行うことも可能です。
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欲しい写真のイメージは決まっていますか?という質問に「いいえ」を選択してクリックすると……
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まずはどんな目的に使用するのかを選ぶ画面になります。
ここではWEB用イメージを選んで先に進んでみます。 -
すると、人物を入れるかどうかの選択画面になります。
ここでは「入れる」を選んでみますが、「おまかせ」という選択肢もあるようです。 -
どんな人物を入れるかを決める画面になります。
右のタグで性別や年齢などを決めることができ、左には具体的なテキストを入力することができます。 -
写真のスタイルを選択します。
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最後に確認画面で生成スタートをクリックすると生成が始まります。
内容を入力しなおしたい場合は「戻る」をクリックしてやり直すこともできます。
エステサロンなどの美容系のサイトで使用できそうな女性の横顔をイメージして、「女性」「WEB用イメージ」「ナチュラル」「横向きの若い日本人女性。髪が風で揺れている。」という内容で生成スタートすると……
出来上がったのがコチラ!
……うーん……?
微妙な生成結果となりました。
「横向き」と指定したのに女性が横向きじゃない!一枚目の画像なんか白目向いてるし……怖ッ!?ホラー映画?
どうやら「横向き」というテキストだけでは、顔の向きではなく目線の向きが横向きになる可能性がある様子。
一回の生成で生成される画像は全部で4パターンのようですが……どの画像もイメージどおりではない生成結果となってしまいました。
このあたりは生成回数を重ねてプロンプトを工夫する必要がありそうです。
ジャンプスのアカウントでは、ベータ版の一か月の生成回数の上限が30回までとなっており、何度もやり直すとあっという間に上限に達してしまいそうですので、よく吟味して入力するプロンプトを決めなければいけませんね。
一枚目の白目をむいた女性の画像に全部持って行かれそうになりますが、冷静に出来上がった画像を観察してみると、クオリティとしては高いことがわかります。
日本人の顔のクオリティはAdobeの生成AIより上かも?
プロンプトには試行錯誤の改善の余地ありですが、とりあえず検証のために入力した今回のような簡単なプロンプトでも、出来上がった女性の写真にはAIによる生成画像特有のCGっぽさはなく、とてもリアルな現実の女性モデルの写真のような印象です。
AdobeのFireflyの時に動物と比較すると人間だけに強く感じられたCG感や違和感、不気味の谷がありません。
さすが、質の高い生成を強みとして謳っているだけあります。
日本の素材サイトのため学習に使用している素材にも日本人女性の写真が多いということも、日本人の顔の生成でより自然な仕上がりが得られる要因かもしれませんね。

手が苦手なのはAdobeのAIと共通
生成された画像のうち四枚目の画像の手の部分に注目してください。
よく見るとぐちゃっとしていて、人間の手の形ではないのがわかります。
これはAdobeの生成AIでも同様で、手を横や斜めから見た場合の指が重なるような画像は生成AIにとっては苦手分野の様子。
素材としてホームページ制作や印刷物などに使用したい場合には、結構致命的な問題です。
どうして人間の手だけこうなってしまうのか不明ですが、五本の指があり、それが動いて作る形を立体的に構築して一方向から見た画像として吐き出しているわけではなく、大量の手の学習素材からボヤッとした全体的なイメージだけで生成しているためかもしれません。
人間の手だけの素材を、様々な方向から大量に学習させることで徐々に解消するように思えるのですが、生成AIが世に出てからこれだけの時間が経過しても複数の生成AIで同様の問題が起きているということは、大量に手の形を学習させるだけでは解決しない問題という可能性もありますね。
学習に使用された素材にもメリットがある仕組み
出来上がった画像のサイズは512px×512pxの正方形となっており、β版だからかそこまで高解像度の画像ではないようですが、利用規約の範囲内で商用利用も可能なようです。
使いたいと思った画像は、マウスを乗せるとダウンロードができるボタンが出現し、自分のパソコンの環境に保存できるようになっています。
ダウンロードが行われると、その生成画像を吐き出すために貢献した学習素材にはポイントが付与され、学習に使用された素材にも利益が出るようになっていて、一方的に学習にだけ使用されて著作権を侵害されるということのない仕組みのようです。
手に難があるのとプロンプトの工夫が必要な点は注意ですが、ゼロからプロンプトを入力するのはハードルが高いという場合にはアテンド機能は便利ですし、人物のクオリティも高いことがわかりました。
フリー素材の中にどうしてもダウンロードしたい素材が見つからない場合は使用してみるといいかもしれませんね。
本リリースも楽しみなサービスだと思います。