202503/04

Adobeの生成AI「Adobe Firefly」は制作の現場で使えるのか?実際にスタッフが検証!!

Adobe Fireflyは、Adobeが出している画像や動画、音声の生成AIです。
画像の生成AIと言えば、Midjourneyを筆頭に、Stable DiffusionやChatGPTのDALL-E 3、Microsoft社のBing Image Creatorなどの有名どころ以外にも、今や様々な会社から提供されています。
その中でも、WEB制作をしている身としてはやはり、デザインの現場でPhotoshopやillustratorでおなじみのAdobe社が出しているFireflyが気になっていました。

果たして素材サイトで素材を探すよりも便利に、クライアント様のデザインに使用できるレベルでAdobe Fireflyは使えるのか?

今回はジャンプスの制作スタッフがテキストによる画像の生成を試してみることにします。

Adobe Fireflyは著作権侵害の心配なし・商用利用可能!

生成AIをWEBデザインの現場で使用するとなると、怖いのが著作権の問題です。
生成AIがクリエイターの画像を無断で学習に使用して生成した画像は、一時期ニュースでも取り上げられて問題になりました。

その点、Adobe Fireflyの売りはAdobeが提供しているフリー素材Adobe Stockの写真やイラストを学習に使っており、著作権の問題は心配しなくても大丈夫ということ。
生成した画像は、Betaラベルのない機能やβ版でも特に明記がなければ商用利用可能となっていて、制作の現場でデザインに使用することに問題はなさそうです。

「テキストから画像生成」を試してみる

動画や音声など、Adobe Fireflyでは画像以外にも様々な生成機能が提供されていて、3Dやベクターといった気になる生成機能もあるのですが、今回まずはオーソドックスに「テキストから画像生成」を試してみることにします。
Adobe FireflyはWEBサイト上のサービスとなっていて、Adobe CCのアプリ一覧から「ブラウザーで開く」をクリックするとWEBサイトが開きます。
そのトップページから「テキストから画像生成」をクリックして生成画面に進むと、以下のような画面が開きます。

  • Adobe Fireflyのテキストから画像生成画面

    Fireflyのモデルは2と3が選べるようです。

  • Adobe Fireflyのテキストから画像生成画面

    ここでは生成される画像の縦横比を選びます。

  • Adobe Fireflyのテキストから画像生成画面

    画像のタイプを写真にするかアート(イラストや絵画?)にするかを選べます。デフォルトでは自動になっています。

上記の下には画像をアップロードできる場所や、画像をギャラリーから選択できる場所もあり、特定の画像を元にして加工していくという使い方も可能なようですが、今回はゼロからAIに生成してもらいます。
さらにその下には、スタイルや効果など細かく生成の仕方を指定できる箇所もありますが、今回は何も触らずにやってみます。

日本語にも対応!プロンプトを入力

設定を決めたら、いよいよ画面右下のテキスト入力欄にプロンプトを入力して、画像を生成してもらいます。
生成AIの中には未だに日本語には対応してくれず、英語で入力しなければならないものもありますが、Fireflyは画面も日本語表示ですし、日本語のプロンプトもOK!
英語でのプロンプト入力はハードルが高いという人でも安心して使えます。

Adobe Fireflyのテキストから画像生成画面

今回は、WEBサイトのデザインでもよくつかわれる街並みを、フリー素材では見かけない「近未来の姿」で生成してもらうことにしました。
WEBサイト制作では、未来の街を創っていく~みたいなよくあるキャッチコピーと共に使えそうな素材です。
その結果がこちら!

日本の福岡県の博多区の街並みを近未来的にして

日本の福岡県の博多区の街並みを近未来的にして

使えそうなきれいな街並みです。
ん?でもあまり近未来感はない?ということで次のプロンプトを試します。

  • 西暦2500年の日本の福岡県の博多区の街並み

    西暦2500年の日本の福岡県の博多区の街並み

    具体的な未来の年を入れてみたら行けるだろう!と思いきや……何でやねーん!いつの時代?逆行してる?これがAIが予測する博多の未来の姿なのか?

  • 西暦2500年の未来の日本の福岡県の博多区の街並み

    西暦2500年の未来の日本の福岡県の博多区の街並み

    「未来の」というキーワードを入れました。今度は、何やら未来都市風の建物や空中に何か浮いてる風景が生成できましたよ。

日本語のプロンプトもちゃんと認識されますね。
しかし、期待した結果を得るためには、プロンプトの工夫が肝のようです。

人物の生成では、やはり出現する不気味の谷

次は、人物の生成はどうでしょうか?
ビジネスマンが街の中を走るという、これまた実際のWEB制作の現場では汎用性の高いビジネス系の画像を作ってもらうことにします。

  • 日本の福岡県の博多区の街を疾走するサラリーマン

    日本の福岡県の博多区の街を疾走するサラリーマン

    人が……いない?ん?「疾走する」だと車で疾走するイメージになるようです。唯一3枚目にターボなんちゃらの都市伝説のようなビジネスマンの姿は見えますが、これでは使いものにならないので少しプロンプトに手を加えてみます。

  • 日本の福岡県の博多区の街を全力で走るサラリーマン

    日本の福岡県の博多区の街を全力で走るサラリーマン

    「全力で」を加えることで、車という文明の利器に頼らず自らの力で走るという意味を与えると……うまくいきました!某テレビ番組のエージェントを思わせる気はするものの、使えそうな画像です。

次はもっとスピード感のあるシーンにトライして、現実には絶対に撮影できない「日本の新幹線の線路を全力で走るサラリーマン」を生成してもらいました。

日本の新幹線の線路を全力で走るサラリーマン

JRに怒られそうな危険なシーンもサクッと生成できました。
……が、一瞬良さそうなのですが、大きな画像にしてよくよく見ると人物に違和感が。
いかにもCGっぽさ全開で、写真ではないことが一目でわかります。

やはりジャンプスのスタッフも一応人間なので、見慣れている人間に対しては不気味の谷が出現するのでしょうか?
それならば、ということで普段見慣れていない生き物ではどうなのか?再トライしてみることにしました。それがコチラ。

  • 日本の福岡県の博多区の街を全力で走るティラノサウルス

    日本の福岡県の博多区の街を全力で走るティラノサウルス

    あれ?人物ほどの違和感を感じない。ヤシの木が生えていたりと本当に博多の街なのかツッコミを入れたくはなるものの、街中をティラノが走っている臨場感ある画像です。

  • 日本の新幹線の線路を全力で走るティラノサウルス

    日本の新幹線の線路を全力で走るティラノサウルス

    躍動感ある画像ができました。二枚目、三枚目は実際のデザインでも使えそうなクオリティです。(そんな案件があればですが)

人物に比べると、見たこともない生物だからか、CGっぽい偽物感はあまり感じません。
それなら、見たことはあるけどスタッフとは違う種の生物ではどうでしょうか?

  • 日本の新幹線の線路を全力で走るチーター

    日本の新幹線の線路を全力で走るチーター

    二枚目あたりはなかなかクオリティの高い画像が作られました。

  • 日本の新幹線の線路で、新幹線と並んで全力で走るチーター

    日本の新幹線の線路で、新幹線と並んで全力で走るチーター

    合成感は否めないものの、CG感とはまた違う印象です。無理やり二つの画像を合成した感ですね。

スタッフはチーターではないので、偽物と本物の区別がつかないからでしょうか。
人物の時のようなCG感はティラノサウルス同様なく、合成の違和感のみが感じられます。
やはり、人間の生成画像に関しては脳が厳しめの判定を下している可能性がありそうです。スタッフもクライアント様もユーザーも人間なので、生成画像を使う上で、これは壁になりそうですね。

これをクリアして、わりと使えそうな画像が生成できたのがコチラ。

正面から風が吹き、髪が後ろにたなびいている、色白で美しく若い日本人の女性の横顔

プロンプトは「正面から風が吹き、髪が後ろにたなびいている、色白で美しく若い日本人の女性の横顔」。
こういった横顔はややハードルが低いのかもしれません。美容系のデザインで使えそうな女性の横顔ができました。四枚目などは実際の案件でも使用できそうなクオリティです。

一度生成した後も、気に入らなければ生成結果の右上のメニューから「再実行」を選ぶことで、同じプロンプトで何度も生成を繰り返すことが可能です。

Adobe Fireflyのテキストから画像生成画面

テキストによる画像の生成の利用料金は生成クレジット式

月何回までとか上限があるのかなーと思いながら、ここまでスタッフが画像生成をやってみましたが、生成すれどもすれども一向に「上限に達しました」の表示は出ません。
これは無限に生成できるのか?と夢見ました。
……そんなことはなく、調べるとジャンプスの場合は一ヶ月の上限は1000回でした。
1000回も生成できるのであれば、ちょっとやそっとでは上限に達することはないので、スタッフも無限に生成できるのかと錯覚してしまうわけですね。

これは、1回の画像生成で1クレジットが消費される仕組みで、Adobe CCを契約している場合、契約内容に応じた生成クレジットが月ごとにもらえます。
ジャンプスの場合は一ヶ月に1000クレジットもらえる契約だったので、画像生成だけなら1000回できるということになります。

他の機能でもクレジットを消費するので、例えば動画生成の場合は現時点では20クレジット/秒となっており、大量にクレジットを消費する機能を使用すれば油断するとあっという間に1000クレジット消費してしまいそうですね。
手持ちのクレジットはAdobe CCの管理画面のアカウントのところで確認でき、消費した分が引かれて950/1000のように表示されます(わかりやすい!)。

画像しだいではデザインでも使えるかも

今回は細かい設定などは行っていませんので、設定やプロンプトを工夫することで、WEBデザインにも使える画像が生成される可能性は十分にありそうですね。
提案資料やワイヤーに使用するレベルであれば、フリー素材を探して当てはめるよりも、思い通りの画像を使うことができるかもしれません。
Fireflyはこの先、制作の現場でもぜひ使いこなしていきたいツールだと思います。