202409/17

ヒトの目の境界線の認識をいまだに超えられないPhotoshopの切り抜き機能

ホームページの制作をしていると、AdobeのPhotoshopで画像の切り抜きを行う作業が高確率で発生します。
そんなときによく使うのが、「オブジェクト選択」ツールや「被写体を選択」ツール、近年実装された人工知能による「コンテキストタスクバー」の「背景を削除」などの自動切り抜き機能です。
自動で人間や動物、建物などの形を認識して切り抜いてくれるツールで、とても便利!……なのですが。
問題はその精度。
これでも改善に改善を重ねて精度が上昇してきているのですが……いまだにどんな画像でも自動選択でズバッと切り抜いて、ハイ完成!の境地には達していません。

百聞は一見に如かず。
実際にご覧いただきましょう。
最新版のAdobe CCのPhotoshop 2024の自動選択ツールで写真を切り抜いた結果がこちら。

……ハイ、このように大変残念な結果となっております。

まあ、ちょっとこの画像ではイジワルをして、分断色なる保護色を持つパンダの写真をチョイスしてはいるのですが。

分断色というのは、パンダやシャチ、ペンギン等の野生動物でおなじみの白と黒の組み合わせによる保護色のことです。
恐竜の時代に祖先が夜行性に移行し、色を見る能力が大きく失われて白黒に近い世界を多くの種が見ている哺乳類に対してや、水により太陽光の大部分が吸収される海の中で効果を発揮する保護色で、白黒の世界で最も明暗の差が大きな白と黒の模様で体を大胆に分けることで、体自体の境界よりも模様の境界のほうがハッキリ見えて動物の形として認識できなくなるというもの。

まさに境界を認識するPhotoshopの機能の大敵ではあるのですが。
でも目や胸などの模様には惑わされることなく、意外と頑張ってパンダらしい形に切り抜いてはいます。
問題は端の処理で、この画像で言うと「耳」。
ハイ、きれいさっぱりどこにもありませんね。
完全に分断色にしてやられて、はじめから耳のない動物だったことにされちゃってます。
この写真は「被写体を選択」ツールで切り抜いた場合ですが、試したところ最初に上げた人工知能含む他のどのツールでも、「完全に同じじゃね?」というレベルでほぼ寸分の狂いなく同じ切り抜き方をされちゃいました。

これと同じことが、制作でPhotoshopの自動切り抜きツールを使用していると頻発してまして。
色が分かれてると被写体から除外されることが多く、更に言えばPhotoshopってば「端に弱い」!
このためざっくり自動切り抜きツールで切り抜いた後に、人間の手による手動の切り抜きを行ってやらないといけないわけです。
この作業が地味にストレスで、一発できれいに切り抜けないもんかなーと常々思うところ。

我々ヒトの目は、上記のパンダのような分断色であっても、耳を除外することはなく境界をほぼ間違いのない精度で認識できています。
何がヒトの目による認識と異なるんだろうなぁ、といつも思っています。
もちろん、それだけ我々ヒトの認識精度が素晴らしいということではあるのですが。
AI導入でもしや……と期待したのですが、ぬか喜びに終わり、いまだにヒトの目による境界線の認識をPhotoshopは超えられていません。

いつかの日かそう遠くない未来にPhotoshopが我々の認識を追い抜いて、スパッと一発で完璧に被写体の境界線をくり抜いてくれることを期待しつつ……それまではまだしばらく、せっせと手動で切り抜きを行う日々が続きそうです。